鉄鋼用加熱炉の省エネルギー技術　インドで導入実証事業を開始

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、インド国の鉄鋼省・財務省と国営製鉄会社のSTEEL AUTHORITY OF INDIA LIMITED(SAIL)と共同で高性能工業炉実証事業を実施することに合意し、2016年4月28日に基本協定書(MOU)を締結した。

インドではエネルギー需要の急増に伴い、エネルギー・環境問題に対応した省エネルギー技術の導入が検討されている。

このたびの実証事業は、鉄鋼用加熱炉に蓄熱バーナ(リージェネレーティブバーナ)技術を適用するというもの。日本の工業炉・バーナメーカと加熱炉ユーザが1990年代に当時の通商産業省とNEDOの支援で開発した技術で、現在、国内の工業炉に導入されている。

リージェネレーティブバーナ技術は、設置した2台のバーナの一方が燃焼する間にもう一方が吸引した排ガスを放出し、燃焼と排気を交互に切り替えて燃焼する仕組み。

バーナに内蔵された蓄熱体が排ガス放出時に蓄熱して、炉内に供給される燃焼用空気を予熱するため、従来の加熱炉や排熱回収システムより高効率な省エネルギーが可能となり、NOxの発生量も抑制する。

SAIL社のラウルケラ製鉄所の加熱炉を改造後、燃料原単位の向上とCO2排出量の削減を実証する。年間100万トンの生産に対して、重油換算でエネルギー使用量210万リットルの削減とCO2排出量6,000トンの削減を見込む。

NEDOは、実証の効果を測定すると同時に、同製鉄所を介してインド鉄鋼業界にリージェネレーティブバーナ技術が導入・普及されることを期待している。




NEDO　ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100563.html