レアメタルを含まない有機系太陽電池向け透明電極を開発

東京大学、科学技術振興機構(JST)、公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST)の研究グループは、2016年1月26日、レアメタルが含まれる酸化インジウムスズ電極を代替する、透明酸化チタン電極を用いた有機薄膜太陽電池を開発したと発表した。

有機薄膜太陽電池は有機半導体や高分子材料を用いたフィルム状で、従来の太陽電池より薄くて軽いため。壁面や窓ガラスなどに設置でき、印刷して簡便、低コストに生産できる点で期待される次世代太陽電池である。

しかし、透明電極に使う酸化インジウムスズには高導電性と光透過性がある一方で、レアメタルのインジウムの供給リスクから代替材料の開発が必要とされている。

研究グループは、ニオブドープ酸化チタンが電気の流しやすさ、光の通しやすさを備えていることから、少量のニオブを混ぜた酸化チタン薄膜の表面をUVオゾン法で酸化させ、電子のみを捕集する機能を付与した。

ニオブドープ酸化チタンを透明導電極に用いるこの手法は、ニオブドープ酸化チタン1層に透明電極と電子のみを流す層をまとめることができ、有機薄膜太陽電池の作製を簡略化する可能性をもつ。また、他の有機系太陽電池に適用するなど、有機系太陽電池の実用化に貢献すると期待される。

（画像はプレスリリースより）




東京大学・JST・KAST　プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160126-2/index.html