水素専焼ガスタービンのNOx排出量を削減する技術を開発

川崎重工業株式会社は、2015年12月21日、低NOx専焼ガスタービンの燃焼技術を開発し、ドイツ・アーヘン市で実施した燃焼試験でその低NOx性能を確認したことを発表した。

ガスタービンで水素を燃焼する場合に2つの課題がある。燃焼速度が速いため燃焼が不安定になることと、火炎温度が高温となるためNOxの発生量が天然ガスの約2倍になること。同社が開発した水素専焼ドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼技術はこれらを解決するものである。

同社は、微小な水素火炎で逆火などの不安定燃焼を抑制し、低NOx燃焼を実現するDLE燃焼の基礎研究に着手し、2014年度には「エネルギーキャリア」を所掌する国立研究開発法人科学技術振興機構の委託で、微小な水素火炎を用いたガスタービン燃焼器に取り組んできた。

このたび開発したDLEは、100％の水素を燃料とする水素専焼ガスタービンで、水や蒸気の噴射を用いずに燃焼温度を低く制御し、NOx排出量を削減する方式である。アーヘン工科大学の高温／高圧燃焼試験設備で水素燃焼試験を行った結果、大気汚染防止法のNOx規制値84ppmに対し、40ppm以下となる数値を得た。

同社は燃焼器を2017年までに完成させるなど、低NOxガスタービン燃焼技術の開発を進めていく方針である。

（画像はプレスリリースより）




川崎重工株式会社　プレスリリース
http://www.khi.co.jp/news/detail/20151221_1.html